「お疲れさまでした」
当主交代の後、初の新年の行事も無事に終わり一息吐いたところだ。
「あーー」
高耶はグッタリと椅子に座り込み、生返事を返す。狐と狸の化かし合いに近い油断できない相手とばかりの挨拶は、さすがの高耶にも堪えたようだ。
「疲れたようですね」
「当たり前」
「今日は一日ゆっくりと出来ますので、私室に戻られたらいかがですか?」
「んー……そうする」
生返事を返しながら、堅苦しい襟を緩める。
「ほら、しっかり立って」
最近の高耶はこうやって偶に甘えてくるようになった。ここ数日の忙しさは、精神的にもきつかったのだろう。既に意識が途絶え気味だ。背後から支えてやりながら、戸口に促す。この部屋から一歩外を出れば、誰の目があるかわからない。高耶もそれがわかっているからこそ、この密室では気を抜いているのだろう。
早く柔らかい寝具の上で疲れを癒させてやりたくて、扉を開ける。
開けた瞬間から、人が変わったようにシャキッと背筋を伸ばし一部の隙もない上杉景虎が出来上がる。
体は眠りを欲しているだろうに、外からはそんな気配は微塵も感じさせない。本当に強い人だ。
若さを侮られないように、心とは反対に悠然と歩く姿には敬服する。
すれ違う人間に声を掛けながら部屋に着き、扉が閉まると同時に、高耶はベットに倒れ込む。静かに扉を閉めて近づくと、寝息が聞こえてきそうな様子だ。締め付けている服を脱がせてやり、風邪を引かないよう上掛けを掛ける。
先ほどまでの毅然とした姿を感じさせないあどけない表情に自然と笑みがこぼれる。
少し伸びすぎた、額に掛かった前髪を梳いてそっと囁く。
「お休みなさい……」
end
ということで、年末年始忙しかった方々お疲れさまでした。遅くなりましたがSSです。今年は目指せヤオイサイト!(笑)新年早々やまなし落ちなし意味なしで書いてみました。今年は多少更新を頑張ろうかと思いますので、よろしくお願いします。
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